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3歳時の睡眠が影響 9時間未満だと肥満1.6倍
 子どもの肥満が増えている。肥満の割合は一九七〇年代に3%だったが九〇年代以降10%を超えた。なぜ日本の子どもたちはこんなに太るのか。運動不足や豊かな食生活などに加え、幼児期の睡眠不足が肥満をもたらしている。こうした興味深い事実を、富山大大学院医学薬学研究部の関根道和准教授と鏡森定信教授(保健医学)らが長期追跡調査で確かめた。

■富山スタディー

 調査したのは一九八九(平成元)年度に富山県に生まれた約一万人。全国の同年生まれの1%に当たる。三歳から小学一年、小学四年、中学一年、高校一年と成長するに伴い三年ごとに調べた。子どもでこれほど長期の大規模な追跡調査は珍しく「富山スタディー」として注目されている。

 三歳時の睡眠時間が成長してからの肥満にどう影響するかを探った。三歳で睡眠時間が十時間以上と長い子どもに比べ、睡眠時間が短い子どもほど、中学生や高校生になっても肥満が多かった。

 三歳の時の睡眠が九時間未満だと、十時間以上寝ていた子に比べ、中学一年になった時の肥満率は一・六倍だった。

 運動不足など肥満の要因として知られている別の事項を除外しても、三歳の時の短い睡眠がその後の肥満に結び付いていた。幼児期の睡眠が直接に子どもの肥満の原因となっているといえる。

■継続が大事

 十分な睡眠の継続が大事なことも、この調査で裏付けられた。小学一年と四年の睡眠時間の変化ごとに比べた。睡眠がずっと八時間以上と長い子どもは肥満が最も少なかった。睡眠が八時間未満に減ったり、過去に八時間未満だったり、睡眠がずっと短い子は肥満が三、四割多かった。

 「三つ子の魂百まで」というが三歳児の睡眠習慣は長く続く。小学四年になってからの就寝時間は、三歳で早く寝ていた子どもほど早寝の傾向があった。逆に遅寝の子はその後も遅く寝ていた。

 関根さんは「子どもの睡眠は、成長ホルモンや自律神経などを介して、心身の発達や健康に影響する」とみる。「寝る子は育つ」とともに、「寝ない子は太る」も新しい健康格言になりそうだ。

■肥満化得点

 もっとも、肥満の原因は睡眠不足に限らない。小学一年の時に、父の肥満、母の肥満、朝食の欠食、一日一回以上の間食摂取、運動不足、二時間以上のテレビ視聴、睡眠不足(八時間未満)の有無をチェックした。この七項目がある場合それぞれ1点として「肥満化得点」(7点が満点)を算出した。

 肥満化得点が小学一年の時にゼロだと、小学四年になっての肥満率は5%と最も低く、肥満化得点4点以上で22%にまで上がり、睡眠不足だけの影響より大きかった。

 子どもの肥満は、成人してからの高血圧や糖尿病など生活習慣病につながる。関根さんは「健康づくりは就学前から必要だ。肥満の予防に望ましい睡眠習慣を幼児期に確立し継続してほしい。同時に適切な食生活や運動など総合的な対策が欠かせない」と訴えている。

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