水曜日

State University of New York schools SUTONIBURUKKU

若いマウスの成体に弱い振動を断続的に与えることで、幹細胞が脂肪細胞に分化するのを防ぐことができるとする研究結果が22日発行の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。

 研究を発表したのは、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校(Stony Brook University)のクリントン・ルービン(Clinton Rubin)教授(生物工学)率いる研究チーム。

 研究はまだ予備段階ではあるものの、少なくとも若者にとっては、激しい運動で熱量を燃焼・代謝するのが太らないための唯一の手段ではないことが判明したという。未成熟な細胞に機械的な刺激を与えて筋肉細胞や骨細胞に分化させることで、脂肪の蓄積を防ぐ可能性があるという。

 人間でも同様の現象が起こるとすれば、幼児期の肥満防止に応用できる可能性があるという。「肥満は代謝・脂肪燃焼機能の不全と考えられがちだが、研究では発生要素も関連していることが分かった」とルービン教授は指摘する。

 研究チームは、若いマウスの成体を振動する台の上に1日15分間、15週間にわたり乗せるという実験を行った。すると、振動する台の上に乗せられたマウスは、固定された台に乗せられたマウスより、脂肪蓄積量が30%近く少ないという結果が得られた。

 ルービン教授は「これは若者が肥満になるのを制御する、非薬理学的方法になりうる。太った子どもをやせさせることはできないが、太りやすい傾向を制御することは可能だ」と期待を寄せる。若者の脂肪蓄積を防げれば、その後の人生で糖尿病や循環器疾患にかかる可能性を下げることもできるという。

 振動による生理学的影響は解明されていない。筋肉が振動により伸縮することで強化され、骨に圧力をおよぼすとの説もある。いずれにせよ、わずかな振動を与えるだけで、げっ歯動物の脂肪蓄積を抑制することが可能であることが、研究により明らかになった。

 一方、ルービン教授は、「この研究が販売されている振動を与える運動機器の効果を裏付けるものではない」として、強い振動は腰痛、打撲、脳疾患、循環器疾患などを引き起こす可能性もあると注意を促している。

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